グローカルコラム 70

自己破産の誤解

仕事をしている中で「アドバイス業の限界」を感じることは少なくありません。

私の仕事は、(企業に対しても個人に対しても同じですが)現状を整理して、業務や家計の改善のための提案をすることです。でも、提案した内容を実行に移すかどうかの決定はクライアント(依頼人)次第です。「やってみる」というアクション・行動こそが現状打開のポイントなのですが、ご理解いただけない場合もあります。

例えば、企業に対してであれば業務改善計画と実際のアクションプランまで提示しますが、アクションを起こすかどうかまで関知できません。実際にアクションを起こさないと状況は何一つ変わりませんが、提案書を読んで、話を聞いて、それで終わりという経営者もいるのです。アクションがなければ、業務改善などあり得ないことなのですが。

個人も同様です。以前に、高利の借金に苦しむ方に対し、とても返済できる金額じゃないことを説明して自己破産を勧めたことがあります。自己破産手続は自分でできないわけではないのですが、煩雑な面も多いので、弁護士などに依頼するのが無難です。弁護士でも司法書士でもない私が法律的な手続を代行するわけにはいきませんので、地域の弁護士会などで開催している相談会を教えてあげたり、破産処理を扱う司法書士事務所の電話番号を教えてあげたりしたのですが、何もアクションを起こそうとしませんでした。すると、借金は減りませんし(当たり前ですが)日々利息だけが積み重なって、ますます苦しい状況になっていくという姿を目の当たりにして、歯がゆい思いをするのです。強制的に連れて行くわけにもいきませんので、こんなとき「アドバイス業の限界」を感じるのです。

余談ですが、ほとんどの人が自己破産に関して間違った認識を持っています。「自己破産すると、すべてを強制的に没収され死ぬまでみじめな生活を送らなければならない」などと思っている人がいるようですが、誤解です。むしろ、自己破産の制度は、人生を仕切りなおして、出直しを促すための制度なのです。自己破産をしたからといって、すべてを取り上げられるわけではありません。資産価値があるものは処分の必要がでますが、生活に必要な物まで取り上げられるわけではありません。新車でなければ、自家用車すら維持できますし、一定の現金もとっておくことも可能です。選挙権を剥奪されることもありませんし、戸籍や住民票に記されるわけでもありません。自己破産を理由に会社も社員をクビにするということもできません。デメリットとしては、新たな借金ができなくなるのとクレジットカードが持てないことぐらいでしょうか。でも、こんなことは自己破産するのですから、当然のことと言えます。これぐらいのことで借金をチャラにしてもらえるのですから、これほど有利なシステムはありません。ただし、自己破産申請だけでは借金をチャラにしてもらうことはできません。免責手続きが認められて、初めて借金チャラが実現します。自己破産手続きだけを行い、免責手続きをしないと借金チャラとはなりませんので注意が必要です。最近では、ギャンブルやブランド物の買い漁りによる借金すら免責が認められてしまうようです。これだけ、借りる側に有利なシステムですから、計画的自己破産なども増えているようです。つまり、「借金しまくって、自己破産しちゃえ!」という、とんでもない奴が増えているということです。ちなみに、自己破産後、10年間は再度自己破産しても免責は認められないそうです。数百万や数千万単位の借金が、わずか数十万円の費用(手続き費用と弁護士報酬など)でなくなってしまうのですから、借金に苦しむ人には悪くない制度です。一度、弁護士などに相談してみる価値はありそうです。特に、

 

l        年収の3倍以上の負債額となっている

l        借入先が銀行などでなく、消費者金融などのノンバンク(高利貸し)である

l        返済のために借金をするような悪循環にはまっている

l        厳しい取立てを受けている

l        ヤミ金や整理屋・紹介屋などの違法業者にも関与してしまっている

 

というような状況にある人なら絶対に相談すべきだと思います。

今回のコラムでは「アドバイス業の限界」と「アクションの重要性」について述べたかったのですが、自己破産の話題が中心になってしまいました。


(次回へつづく)

                              (2005年2月17日)



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