グローカルコラム 79

やりたいことだけやらせていただきます


2005年10月にコラム78を更新して以来、実に10ヶ月ぶりの新規コラムの更新となってしまいました。前半は、多忙を理由とした怠慢としか言えないのですが、後半は病気療養中だったことによります。

今回は、まず初めに自身の病気のことについて述べたいと思います。3月29日から6月30日までの94日間入院していました。「脳腫瘍」という病気で、しかも悪性です。厳密には「退形成性星細胞腫」という種類の腫瘍でWHO(世界保健機構)の分類によるとグレードVというものです。このグレードですが、最も悪いWに次いで、悪性度が高く、医師によると、平均的な余命が2〜3年、5年生存率(5年間生きられる可能性)が30%程度(調べたところ、20%と記載されている資料もありましたが)だということです。

つまりは、「あまり長くは生きられないであろう」という宣告を受けてしまったわけです。本当に、あと数年で死んでしまうかどうかは別にしても、「死」というものを意識したときに、やはり「やりたい(やるべき)ことをやって、悔いなく死んでいきたい」と思うわけです。そして、残り少ない(?)人生を少しでも有意義に過ごしたいと思うのです。そうして、いろいろと考えた結論は、「残りの人生、やりたい(やるべき)ことだけ、やらせていただきます」というものです。仕事についても同様で、「やりたい(やるべき)仕事だけ、やらせていただきます」というのが、今後の業務方針となります。それでは、「やりたい仕事・やるべき仕事」とは何でしょう。そして、改めて、私自身の起業・独立の原点に立ち返ってみたとき、それは「困っている庶民の力になっていこう」という理念なのです。なので、庶民からの相談には報酬を度外視して取り組んでいきますが、富裕層への資産運用などの相談には応じきれないと思いますので、ご理解ください。企業コンサルティングについても、困っている中小・零細企業や自営業者の相談を中心としていきます。利益拡大などを目論む企業経営者の相談などは受ける余裕はないと思います。ただし、そうした判断はあくまで、私の個人的な主観によりますし、時間の余裕があれば応じることができることもあると思いますので、相談事があれば、まずはメールなどで遠慮なく相談してみてください。そのうえで、細部を検討し、ご相談に応じられるかの判断をさせていただきます。

 

ところで、心理学に「ハーディネス」という概念があるそうです。これは、頑健性とか頑強性と訳され、強いストレスを感じるようなネガティブな状況に置かれても、それを乗り越えていくという性格だそうです。心は、マイナスにはプラスで抗して、バランスを保とうとするものの、最悪のマイナスの事態をくぐり抜けた人は、そのマイナスより大きなプラスを得て、例えば、「何が自分にとって本当に大切なのか」といった、掛け替えのない価値に気づかされるといいます。まさに今回の病気と手術は、私をかなりネガティブな状況に追い込みました。ただし、この最悪のマイナスの事態をくぐり抜けた結果(まだ完全に抜けきれたというわけではありませんが)、「何が自分にとって本当に大切なのか」といった、掛け替えのない価値に気づかされたのは事実です。一見、マイナスというか災難に思えるようなものでも、貴重な体験と捉えることが大事であり、どんな逆境の最中にあっても「すべて意味のあることなのだ」と有意味性見出していく、苦難のなかにすら有益性を見出していく、心には本来的にそういう力が備わっているということです。それが「ハーディネス」というものの概念ということです。(詳しくは、「仕事ストレスで伸びる人の心理学」ダイヤモンド社、参照)

別に、心理学的に説明する必要もないのですが、自分にとっての価値観を根底に仕事を選ばせていただきたいとの思いです。

また、先日、マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長が経営の一線から退き、慈善事業の活動により多くの時間を費やし始めたい、ということを表明しました。そこでのコメントは、「これは引退ではない。私の(人生の)優先順位の組み替えだ」と述べたといいます。もちろん、私などにはゲイツ氏のような慈善活動はできませんし、対比できるような人物でもないことは分かっています。ただ、私も、仕事を減らす(選ぶ)ということが「私にとっての(人生の)優先順位の組み替えである」ということです。いろいろと勝手なことばかり申しておりますが、医師から「長くは生きられない」と宣告された人間の戯言です。あたたかい目で、ご理解いただけますようお願い申し上げます。

次回にはグローカルコラムらしく私自身の治療費について述べます。私の著作を読んでいただいた方はお分かりでしょうが、私は医療保険に懐疑的で自分自身も入っていないと主張しておりました。それでも、今回は長期入院と手術、放射線治療などの高額治療により、100万円を超える医療費がかかりました。「入っとけば良かったかなぁ」などと一瞬は思いもしましたが、よくよく計算してみると、主張をまげる必要もなく、医療保険に対する不信をますます増長させました。それについては、実体験を基にした詳細な数値を示して解説する予定です。お楽しみに。


                              (2006年8月24日)



             注意

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