グローカルコラム 81

ホワイトカラーエグゼンプションに関する私見

ホワイトカラーエグゼンプション(以下、「WCE」)について見解を、ということで書いておりましたら、ちょっと掲示板に載せる文章としては量が多くなってしまったため、コラムを借りて私見を述べさせていただきます。はじめに、私はコンサルタントでありながらも、どちらかというと経営戦略方面を得意としており、こうした人事・組織・報酬分野の専門ではないので、(言い訳がましくてスイマセン)恥ずかしながら、WCEについてもその名前と概要程度の知識しかありません。しかも、現時点では、WCEが導入されたとしても、その具体的な運用について(例えば報酬制度との関連性など)、まったく詳細については白紙の状態のようです。さらに、導入された各企業によっても、まったく異なる成果が出てきたりもするので、一概に白黒つけるのは難しいと思います。そういったことを前提に見解を述べさせてもらいます。そもそも、WCEに限らず、成果主義制度などもそうですが、経営側が提起するシステムというのは、「いかに人件費を抑えて効率的に仕事をさせるか」ということを主たるテーマにしていますので、経営者側から提案であるというだけで、一般的には労働者側に不利であることは、まず、間違いないでしょう。「一般的には」とあえて但し書きをつけたのは、制度の恩恵を受ける人も出てくるであろうというという意味からです。あらゆる制度に言えることですが、制度の特徴をメリットとする人、デメリットとする人とに分けられるものです。この制度でも、メリットを享受できる人とデメリットにしかならない人が存在してくるはずです。(おそらくは、その比率は後者の方が多いでしょうが)そこで、やはり私が常日頃から主張している「自立性」というものが必要になってきます。別に自営が良いという意味ではありません。企業のシステムが変わるたびに、右往左往するのでなく、「どんな制度が取り入れられようがプロフェッショナルな仕事をしていれば、恐れるに足らず」という自分自身を築き上げるしかないのです。結局のところ、どんな制度であれ、それを運用するのは人間です。ですから、職能面だけでなく人間性の面からも「職場でなくてはならない存在」「絶対にいてもらわなくてはならない存在」になるしかないと思います。資格についても検討しているようですが、資格さえあれば何とかなるという時代でもなくなってきています。(創立当初から見てくださっているのなら、03年5月のコラムで「病院がキャバクラになる日−資格について考える」というのも読んでいただいたかもしれません。編集の都合で著作には載せられなかったので、しばらくの間(一ヶ月程度)、下記で閲覧できるようにしておきますので、もう一度読んで参考にしてください)大事なのは、制度や周りの環境を言い訳にしないことです。一番見苦しいのは、「制度が悪いから俺は正当に評価されない」とか「上司が悪いから、俺は出世できない」とか言う人です。私に言わせれば、そんな発想をしているようだから、「評価もされないし」「出世もできない」のです。当然ということです。社内で一目おかれるような人は、仕事のことや会社のことをもっと真剣に考えているものです、そういう姿勢からは、制度や周りの環境に対して不平不満など出てくる余地などありません。WCEについて述べるつもりが、最後にはあまり関係のない結びになってしまいましたが、ご容赦ください。追加の質問やご意見・ご異論があれば、掲示板でもかまいませんので、気軽に投稿してください。もちろん、直接メール下さってもかまいません

                              (2006年11月21日)

病院がキャバクラになる日コラム6 (2003年5月22日掲載分)

「資格」について考える

長引く不況の影響から資格の取得を目指す人が増えているといいます。「社内の昇進や昇給に有利」とか「就職・転職に有利」とのうたい文句のもと、予備校や通信講座が激しい生徒争奪競争を繰りひろげています。資格取得が目的であるとしても、何かの知識を得ようと勉強・努力することは大変に結構なことだと思います。その一方で、本質的な問題を見過ごして「資格さえあれば…」と考える風潮には危惧をいだかざるを得ません。少なくとも「資格そのものは何の価値も生まない」との認識を持ったうえで資格取得を目指してほしいものです。

 

そもそも企業などの採用する側は、社員の「専門知識」に対して報酬(給料)を支払うわけではありません。その社員がその知識を生かして「何か」をやってくれたとき、または知識を生かして問題解決してくれたことに対し報酬を支払うのです。あくまでも業務や問題が先にあり、それをおこなうためのツール(道具)が専門知識なのです。

 

例えば、簿記検定に合格しているから採用してくれるのではなく、会社としては簿記の知識を使って会社の経理業務を管理してくれると期待して採用するのです。最もお金になると考えられている医師資格についても同様なのです。すこし突っ込んで考えて見ましょう。

医師という職業の本質を考えたとき、お金を払ってくれる患者にとっては、その医師がどれだけの専門知識を有しているかどうかよりも、この医師は病気を治してくれるか、自分の健康不安を払拭させてくれるか、健康になるためのアドバイスをしてくれるか、などがより重要なことなのです。いくら医師資格や何らかの専門知識をもっていたとしても、カゼの症状を訴える患者を回復させてあげることもできないようであれば、なんの価値も生みません。むしろ、アレルギーが原因でカゼの症状を訴えている患者に風邪薬を処方するような医師では害悪とさえ言えます。ですから、医師といえども、患者や健康を求める人々の要望にこたえ満足を与えることができなければ、淘汰されてしまいます。実際、やっと開業こぎつけても廃業に追い込まれる医師もいます。「開業医で失敗しても、医師資格があれば他の大病院に就職できるからいいんだ」とお思いかもしれませんが、安心はできません。既に諸外国では当たり前ですが、大きな病院には多くの医師がいます。患者は数多くの医師の中から気に入った医師を指名して診察してもらうようになっております。患者側としても、同じ診療費を払うなら、信頼できる医師を選んで指名できるほうがはるかに価値的です。日本の病院では指名はまだ定着していないものの、医療制度改革の流れとともに、こういう実力主義の傾向は避けられないでしょう。そうなってくると、大病院に勤務する医師であるとしても、どうしたら患者に価値を与えることができるかを真剣に考えないといけなくなります。やってくる患者をこなして、給料だけもらっていればという、単なるサラリーマン意識だけで医療行為を続けるようだと、患者からの信頼は得られず、指名が得られません。そうなると、病院からリストラされてしまうようなことにもなりかねません。「指名がもらえずクビになりました。」などと言うと、キャバクラのネーチャンのようですが、病院だろうがキャバクラだろうが、経営の観点からはまったく同じ原理が通用します。医師をキャバクラ嬢と考え、患者をお客とらえ、医療行為をサービスだとみなせば、病院の理事長もキャバクラのオーナーも取るべき戦略は同じです。つまり、「どれだけ患者(お客)の指名を得て来院(来店)してもらい、納得できる医療行為(サービス)を供給できるかが分かれ目です。病院(お店)にとっては、指名の取れる医師(キャバクラ嬢)を多く集め、医療(サービス)の質の向上を目指すことが大事な経営課題となるのです。分かりやすく言うと「病院がキャバクラ化する」とでも言えましょうか。決してはるか遠い日のことではないことは確実です。

 

資格の話がキャバクラに飛んでしまいましたが、ここで申しあげたいことは、「資格は生活を保障してくれない」という事実です。医師であっても患者にそっぽを向かれたら、安定は得られないし、何の資格を持たないキャバクラ嬢でも、お客の人気を得られれば、安定が望めます。「キャバクラ嬢は年をとったらできないし、やっぱり資格があれば…」などと言うなかれ。年をとってもホステスとしての質が高ければ、別な種類の店で十分に活躍できます。あるいは、自分で店を出し、オーナーとして生活していくことだって十分に可能です。実際、そこら辺の医師より高級稼いでいる元キャバクラ嬢のママさんだっています。

ずいぶん医師の話が長くなりましたが、他の資格も同様です。かつては弁護士・公認会計士・税理士などの「士」のつくいわゆるサムライ資格者には、資格さえ得られれば、黙っていても仕事がまい込んできたそうです。しかし、今はそんなに甘くはありません。電車のなかで、弁護士事務所の広告を見受けられるようになったこともそれを物語たっています。弁護士ですら必死に宣伝広告を行わないと仕事がないのです。取得が難しいサムライ資格者ですらなかなか安定は得られません。ましてや誰でも持っているような資格をいくらかき集めても、資格だけで食ってはいけません。では、どうすれば食っていけるのでしょう?会社や好不況に左右されないスキルやマインドを磨くことが一番大事なのです。資格や専門知識はそのためのツールでしかありません。

 資格を取ることが無駄であるとは言いませんが、本質を見極めた上で勉強に取り組んでほしいものです。取得した後に、「こんなはずでは…」と思わないためにも。2003年5月22日)



             注意

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